醤人ブログBLOG

大髙醤油 昭和物語 ⑧次々に生まれる加工品

こんにちは。大髙醤油先代社長、現在は会長の大髙和郎です。

シリーズ・大髙醤油昭和物語、前回までは「めんつゆ」、現在のフジトラつゆが誕生するまでのお話でした。

その後、大髙醤油は、伝統の醤油をベースに、どんたれなど様々な加工品開発に乗り出します。今回はそのお話をさせていただきます。

 

 

第8回 次々に生まれる加工品

「返し」を究める日々

我が家の台所で始まった醤油加工品の開発は、やがて大髙醤油の大きな部門に成長しました。

 

試行錯誤する中で、蔵の職人たちの力量も上がっていき、レシピはすぐに100種類を超えて増え続けました。今では、350種類に達しています。

 

醤油加工品のPRでイベント出展。妻・正子(右)と社員の田辺豊子さん(左) 昭和59年撮影

 

昭和50年代後半、郊外型ファミリーレストランが全国にくまなく店舗を構えるようになり、また、チェーンの弁当屋さんも人気が上昇。それらのレストラン、弁当屋さんから注文をいただき、先方にとっては「厨房支援商品」として便利に使っていただけるよう、次々にチャレンジしました。

 

現在の基幹商品のひとつ「どんたれ」も、このチャレンジの中で生まれました。

 

大事なのは、「返し」です。

返しとは、醤油を火で熱し、そこに、砂糖やみりん、酒などを加えた、甘みのある醤油系調味料のこと。この返しが、味の根本となります。

 

酒や砂糖の配合によって味は微妙に変化し、甘すぎず、辛すぎない味を探します。甘みは、砂糖は品のある味を醸しますが、みりんは力のある甘みが出て、これも魅力的。

もちろん量産する上では原価の計算も必要ですので、いろいろ頭を巡らせながら検討を続けました。

 

どんたれの試作品をお得意さまに届けると、先方の料理長から、

「味はいいが、色合いが悪い。もっと照りが出ないと食欲をそそらない」とのご指摘。

 

それはそうだと、早速戻って、たれの「照り」や「色合い」の改善に着手しました。

「照り」を出すのはでんぷんだ、と考え、試してみたところ、照りが出るには出るのですが、どうしてもまだらになってしまいました。

 

そこで今度は、当初使っていた白砂糖から、色のついた「きざら」(サトウキビを絞って煮詰めて作る砂糖の一種)に変更してみました。すると見事な照りが出ました。

では、きざらの分量はどうするか、などと言った具合に更なる試行錯誤が続きました。

 

どんたれ・和たれ これだけで料理の味が整う万能調味料を目指しました

 

今のご時世ではあまりおすすめできないかもしれませんが、私は、開発を始めると「これだ」という結論を得るまでは、夜中になっても作業を止めない性分です。

「今日はここまで」と止めて翌日に持ち越してしまうと、ごく微妙な味覚を忘れてしまうような気がするので、一気に取り組みました。

 

画家や小説家が作品を完成させるときにそうするようですが、それと似ているのかもしれません。商品は、作品でもあります。

 

こうして「どんたれ」が生まれ、それに続いて「焼き鳥のたれ」「ラーメンのたれ」「鰻のたれ」と、作品の類は増えてゆきました。

 

もちろん、お店の料理長の厳しい味見によって、もっとこうならないか、と新たなハードルをいただき、さらに知恵を絞ることで、大髙の独自の味に近づいていったと思っています。

 

今回はこのへんで失礼します。次回もどうぞお楽しみに。

 

大髙醤油 昭和物語はこちらからまとめてお読みいただけます。

 

どんたれ(和たれ)、和つゆでの簡単レシピをこちらで紹介しています。

めんつゆから生まれた「和つゆ」、どんたれから生まれた「和たれ」を詰め合わせた和調味料セット

 

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